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ハムフェア2018で見つけた

アンテナ アナライザ キット

―4千円の組み立てキット―

by Takashi Hioki, JF1GUQ / KA8J

ハムフェア会場で見つけたアンテナアナライザキットを組み立ててみました。販売していたのはロングファイナルハムクラブ。残念ながら取扱説明書等に連絡先がありませんから、気に入っていただいてもこれからの追加購入は難しいかも知れませんのであしからず。 <製作者の方、頒布可能なら連絡ください> 。

キットの内容

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キットパーツと説明書

プログラム済みPICチップが基板裏にハンダ付けされています。背の低い部品から取り付け、ハンダ付けしていくと1時間程度で組み立ては完了しました。バラック状態で動作テストしたところ、期待通りに動きましたので、せっかくですから実用できるようにケースインすることにしました。
 

最初は近所のホームセンターで買える部材でまとめるつもりでしたが、組み立て説明書に多回転ボリウムへの交換が推奨されていましたので、秋葉原詣でを余儀なくされました。 キットの代金4,000円にホームセンターで買い求めたタッパー容器が516円、秋月電子通商で多回転ボリウム(ヘリカルポテンショメータ)700円、そのストッパー付きバーニアダイヤル800円を買い求め、付属していた丸座のM型レセプタクルでは使用中に取り付けが緩む恐れがありましたし、後述する金具での取り付け方法を考慮して、角座タイプに交換(千石電商:510円)、ネジ・スペーサーは西川電子部品で揃え311円がかかったのが費用のすべてです。合計6,837円(税込)となりました。

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基板にパーツを装着したのち、半田付けします

 取扱説明書(PDF)

アンテナアナライザの仕組み

このキットの構成はCD74HC4046AN(VCO)の高周波出力を周波数カウンターで計測し、インピーダンスブリッジとの測定結果と合わせてLCDディスプレイに表示させています。 ハムフェアの会場で展示されていたのはバックライト付きのLCDディスプレイでしたが、消費電力が増えてしまうとの理由で、バックライト無しが同梱されていました。 このキットではLCDの感度調整と、測定レベルの調整用半固定ボリウムがあるだけで、他に調整個所はありません。LCDが見やすい濃度になる位置に合わせ、周波数の下に表示されているレベルメーターを測定端子に何もつながない状態でフルスケールに調整するだけで動きます。

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10kΩ・10回転の多回転ボリウム

完成するとボリウムを操作して周波数を変化させますが、その操作性をより細やかにするために先述の10kΩ・10回転の多回転ボリウムに取り換えることにしました。おかげでかなり細かく周波数をコントロールできるようになりました。これにはバーニアダイヤル(カウンターダイヤル)を組み合わせ、回転をカウントさせて「今何回転目なのか」目安にします。商品名に「バーニア」が付いていますが、そのダイヤル自体にはバーニア機能はありません。何回転目なのかを計測するカウンターが主な働きです。
 
また、購入した多回転ボリウムは端子の位置が通常のボリウムと異なります。通常①、②、③と並んでいる端子が①、③、②のような配列になります。中点②が中央ではなく端に位置しますから、その点注意しないと部品を壊す恐れがあります。 ケースインにあたり金属ケースも候補に挙がりましたが、ご覧のように完成した基板上には電源スイッチが直付けされていましたし、LCDディスプレイの大きさの穴をあけるのは一苦労しそうでしたので、ポリエチレンの容器に日和ました。

電源オンで動作を始めました

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工夫したのはM型レセプタクルの取り付け方法で、丁度良い金具を西川電子部品で見つけました。グランドレベルは最短でつながりますし、強度も取れます。最初に金具を角座M型レセプタクルに仮組してその形をキープしながら基板のアースラインに金具をハンダ付けします。これで金具が固定されました。その後M型レセプタクルは取り外してタッパー容器の外側から組み立てます。

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M型レセプタクルの取り付け

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M型レセプタクル

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M型レセプタクルの取り付け方法

基板取付用のゴム足を装着したところ

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写真は基板取付用のゴム足を装着したところです。手作業での4個の穴空けはいびつになりがちですが、底面にゴム足を置き、スペーサーで基板を浮かして取り付ける方法ですので、組み立てる時に穴のズレはある程度修正できました。
 
最初に見当を付けて3.5φの穴をあけてみましたが、基板は予定される正しい位置には収まりませんでした。次に穴を4φに拡大すると、0.5mmの余裕で、かなり修正できました。気を良くして4.5φに拡大すると、まるで最初から機械で空けたような確度の位置に収まりました。1mmの誤差は底面からはゴム足に隠れて見えませんし、スペーサーが落ちるほどの大きさでもなく、基板の上からも大穴を見ることが出来ませんから、上手くいったと思います。
 
組み立ててから気が付いたことですが、この配置ですとアンテナが同調していることを知らせてくれる黄色のLEDの中でも、最良点を示すLEDが電池ケースで隠してしまったことが悔やまれます。 普段はタッパー容器の蓋で密閉し、使う時は蓋を取り外します。

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完成品はこのようになりました。

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3.5MHz~7MHzダイポールアンテナの帯域幅とSWRを測定しているところ

山中湖山荘のキロワットシャックで実際に使ってみると

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3.5MHz~7MHzダイポールアンテナの帯域幅とSWR

図は設営当時の3.5MHz/7MHzの2バンドフルサイズダイポールアンテナのSWR特性です。これをアンテナアナライザライザキットで測定してみると、ほとんど判定できませんでした。21MHz(7MHzの3倍)ではマッチングが取れたことを表示されました。全く反応しないわけではなく、部分的には実際の測定データと合致することもありますから、壊れているようにも思えません。
 
市販アンテナアナライザと比較してみると、判定の甘さが実用には向かないと感じました。それでも久しぶりに手作りした満足感は得られましたので、それで良いことにします。

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アンテナアナライザ3機種勢ぞろい。左からMFJ-259B、AEAのHF ANALYST、そしてキット

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アンテナにつないで測定中

最初の測定から1週間後に山荘シャックに戻りました。その時、感度を調整してもう一度測定してみたら、今度は正しく反応してくれました。説明書にあった感度調整では正しい測定がなされなかったものと思います。今回は結果が分かっているアンテナにつなぎ、その結果通りになるように感度調整しました。 そうすると周波数を変化させ、ディップ点を見つけるのも容易でした。

黄色いLEDも右端の「良好」を示めしています。 先に示したグラフより同調点が下方にずれていますが、市販のアンテナアナライザでもその傾向が出ていますので、次の機会にはエレメントを少し短く修正しようと思います。de JF1GUQ

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