Bird 43 測定エレメントの改造
ー ジャンクのエレメントを1200MHz用に改造する ー
Takashi Hioki JF1GUQ/KA8J
ハムフェア2007ジャンクショップでBird43通過型電力計で使用できそうな測定エ レメントを入手しました。そのお店(ブース)ではどれでも5,000円ということなので、使えそうなものを選んでみました。

■ BIRD社の測定エレメント
1.周波数が1,000MHzを超えると高額になる。
2.HF帯では測定電力が5kWを超えると高額になる。
3.通常HF帯は最低測定レンジが50Wから。
4.同じくVHF帯の最低測定レンジは5Wから という特長がある。
これは「TABLE 1」という、一般に市販している測定エレメントがこういった規格で生産されているためです。 今回は1,200MHzで使用することを念頭に、ジャンク品の中からめぼしい1個 を選びました。
写真がそのジャンクのエレメントです。
■ ジャンクの中から1,200MHz帯で使えそうなエレメントを選ぶコツ
a)できるだけ測定周波数の高いものを選ぶ。
b)できるだけ測定電力の小さなものを選ぶと良い。
このように選んだエレメントですと、後の改造が容易になります。
■ HF帯のエレメントをUHF帯で使用したい
というような改造では、ピック アップコイルの形状がまったく異なりますから、あまりお勧めしません。 HF帯の測定エレメントは周波数範囲を変更する改造よりも、フルレンジの測定電力の変更にかかわる改造に分があります。UHF帯のエレメントは、高価な1,200MHz 帯のエレメントの代用品として改造すると価値が上がります。
入手したエレメントの銘板には310-350MC、2.5Wと刻印されています。MC=メ ガサイクルという表示も古めかしくて気に入りましたが、現在の規格「TABLE 1」では200-500MHz、5Wの「5D」よりも高感度であることに注目しました。

ハムフェアで品定めをするJF1GUQ(右)
Bird43通過型電力計のエレメントは、その構造上(ダイオードの特性でもあり ますが)HF帯よりはV/UHF帯の方が高感度になります。銘板の表示周波数は測定 レンジの補償範囲を示します。この周波数表示は一部を除き通過周波数帯域を限 定するものではありません。
Bird43の特殊な測定エレメントでは、2,400MHz帯 に対応したものもありますから、測定エレメントをそれぞれの周波数毎に用意す ることで、測定器本体は1.9MHz~2,400MHzまでを1台でカバーすることができ ます(1,000MHzを超えるUHF帯では市販のSWRメーターが買えるほど測定エレメ ントは高価です)。
入手したエレメントは350MHz周辺でフルレンジ=2.5Wを測定できるというの ですから、1,200MHz帯ではさらに少ない電力でフルスケールになることが予想 されます。この機会に、測定エレメントの分解を試みました。
銘板の上にある2個のリ ベットを取り外すと、マイナスねじの頭が見えます。このねじを外すと、感度調 整用の抵抗が露出します。HF帯のエレメントですと、この部分が可変抵抗になって いますから、それを調整することで校正(感度調整=測定電力の変更)が行えます。
■ 改造と校正は
本エレメントのように固定抵抗の場合は、その抵抗値を測定して、必要な感度 になるように取り替えることになります。 実際に高周波をピックアップする部分は、写真でご覧のとおり、しっかりとした作りになっています。今回の改造ではこのピックアップ部には手を加えませんので、ここまで分解することはなかったのですが、マイナスねじ2本で分解できるため、サービスショットとしてご覧に入れました。
次の休暇には抵抗器を適当のものに取替え、校正を行いたいと思いますが、まずはエレメントの入手から分解までを紹介しました。

310-350MC 2.5Wのエレメント

銘板を外したところ

白い樹脂製のカバーは、銘板を外した感度調整用抵抗のさらに下側にある小さ なタッピングビスで取り付けられています。

このように内部が露出します。