<リニューアル版>
SDRラジオ 再び
SDR放熱対策その1~3
by JF1GUQ/KA8J/JA1ZNG
JE1UCI 冨川さんがアイコムのWeb情報誌 週刊「BEACON」に連載中のエレクトロニクス工作室 No.144 「RTL-SDR」に触発され、私もしまい込んでいたUSBドングルを引っ張り出してみました。

Amazon Fireで動作中のUSBドングル(左)と赤外線温度計(右)
写真はAmazon Fireで動作中のUSBドングルと赤外線温度計です。55.9℃の表示に注目してください。 ドングルの温度分布は

このようになっていて、温度上昇が原因と見られる周波数の不安定を起こします。冨川さんの記事でも、これらの放熱が課題となっていました。放熱問題はケースインの時に対策を考えるとして、Amazonでケースイン時に有効なパーツを見つけて購入しました。

北京から届いたこのケーブルを使うと、ケースインが楽になります。

SMAメスレセプタクル
257円で購入しました。さて、次の休みにでも秋葉原でこれに合うケースを探してみることにしましょう。続きはケースが見つかったら公表します。

SDR放熱対策その1
JA1CVF 岡田さんにお願いして、放熱板を作っていただきました。 事前のお話では「スペースの問題で大きな放熱器は付けられません。」ということで、 「USBのコネクタに熱を逃がす」方法を考えていただきました。

ドングルと加工した放熱版
加工済みのリン青銅板は熱をUSBコネクタに逃がす役割と、アルミチップICに押し付ける(貼り付ける)働きを持たせていただきました。しかもオリジナルケースに入れることが出来る凝りようです。リン青銅板の取り付けは小さな穴が2個ありますから、そことUSBコネクタをハンダ付けします。位置がずれるといけませんから、大型のクリップで仮押さえして、作業を進めました。

大型クリップ仮押さえして作業を進める

ICの上にアルミチップを乗せ、リン青銅板とアルミチップは瞬間接着剤で固定します。

結果は、56℃あったチップの温度が29℃まで下がりました。

放熱対策で安定した動作が確報されました。
ケースインしてしまうと、加工してあることがわかりません。 もう一つ、大掛かりな放熱対策も考えていただいていますので、それも出来ましたら公開したいと思います。
SDR放熱対策 その2
SDRラジオ・USBドングルの放熱対策 その2をご覧に入れます。工作とアイデアをJA1CVF岡田さんにご協力頂いた逸品です。 放熱器は別のレポートで取り上げたJUNKのノートPCから取り出したものです。3台のJUNKノートPCから2台を再生した話ですが、その残った1台のCPU冷却用の放熱器です。

CPU冷却用の放熱器に載せたドングルの温度は約31℃に収まった
FMV BIBLO NF/G40のCPU/AMD Athlon II M320とGPUを冷却していたものです。CPUのTDPが35Wと分かっていますので、冷却ファンと組み合わせて35W以上の発熱に対応した部品だと思われます。 SDRドングルは消費電流から最大でも1W少々の発熱と考えられますから、このヒートシンクの実力から見れば自然冷却で十分な冷却性能と考えられます。

放熱器は別のレポートで取り上げたJUNKのノートPCから取り出したものです

放熱器にドングルを載せて固定します
対策<その1>より表示温度が高いのは、直接チップ表面温度を測定しているからだと思います。 発熱チップ=>プリント基板=>放熱器の構成で、これだけで効果があるとは思いませんでした。<対策<その1>は発熱チップ=>放熱器の構成ですから、熱伝導効率が良いのでしょう。 結論付けすれば、発熱チップの熱放熱面積が足りていないので、それを補償してやると安定動作が得られそうです。皆さんの追試をお願いします。
ドングルはチップの冷却をプリント基板に放熱することで対応していますから、その冷却部分にアルミチップを貼り付け、熱伝導で放熱器の容積を増量したのが今回の対策です。 ケースインを岡田さんに相談しましたら、想像以上のアイデア満載の加工済みケースが帰ってきました。 ご覧のようにフィンがケースの中に収納されていますが、それでも十分な放熱が保てるようになっています。延長USBケーブルを取り付けてパソコンと接続します。ケースインにあたって、外部アンテナ端子を新しく設けました。

放熱器に載せたドングルを側面からみたところ

ケースインにあたって、外部アンテナ端子を新しく設けました

ケースにドングルを収容し完成しました

放熱対策が万全のSDRラジオの外観
SDR放熱対策その3
簡易な方法で放熱効果が出ないか? 放熱対策<その3>を考えてみました。 秋月電子通商で売られている「RaspberryPi B+用ヒートシンクセット」120円を2個購入し、「熱伝導両面テープ(シール)40×40mm」100円で貼り付けるだけの工作です。

「RaspberryPi B+用ヒートシンクセット」とUSBドングル
購入費用は340円です。「RaspberryPi B+用ヒートシンクセット」には放熱器が2個入っていますが、大きな方は使いません。
「熱伝導両面テープ(シール)40×40mm」を放熱器の大きさにカットして、片面を貼り付けます。チップの上に張り付けたところ、電解コンデンサと同じ高さになりましたので、加工後オリジナルのケースに入りました。苦労したのは放熱器の位置決めで、ケースには内部に突起がありますので、それを避けて、うまく収まる位置を探さなくてはいけません。 仮組の状態で放熱効果を測定してみました。

「熱伝導両面テープ(シール)40×40mm」を放熱器の大きさにカット

放熱器をチップの上に貼り付けたところ

受信しているのはTBSラジオ(AM)のFM放送(90.5MHz)です。
受信しているのはTBSラジオ(AM)のFM放送(90.5MHz)です。きれいに聞こえています。これがやりたくて、SDRドングルを再度引っ張り出してきた次第です。 対策前のチップの表面温度は56℃から42℃に下がっていました。ダイオードの部分も48℃から31℃になっていますから、この程度の工作でも放熱対策には有効だとわかりました。 さらに効果を高めるために、ケースに小穴を開けることも検討しています。 皆さんの追試をお願いします。

チップ周辺の温度。未対策時56℃がこの小さな放熱器を追加しただけで42℃に

ダイオードは表面積が小さいので、さらに効果がありました。未対策48℃が31℃まで下がりました。