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オートダイン研究会の講演

オートダインの過去と現在

 解説:JA1CA 岡本 次雄(SK) 制作:JA1HQG 有坂 芳雄  資料提供:JA1AR 木賀 忠雄(SK)

No.35  ここに同受信機のスケッチを示します。右側は既にあった0-V-1に増設したUX222の高周波部分です。

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No.36  これは昭和9年頃プロ用として使用された2-V-2の高級短波受信機です。高周波用と検波用のプラグインコイルを間違いないように別の型にしてあるのが面白いと思います。

球が横になっているのは、フィリップスのE442を使用したからで、フィリップスの球は上部キャップがプレートでした。

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No.37  これは昭和13年頃J2OS 後のJA1OS柴田俊生氏の製作されたものです。短波アマチュアとしては戦前最後のものといえましょう。高周波5極管を使用し、コイルはロータリースイッチで切換えております。氏の話では、当時はロータリースイッチはFBなものは入手不能で自作されたそうです。波長は10~50mでした。この頃よりQSTの記事等の影響で短波アマチュアの受信機は次第にスーパーヘテロダインに移行していきました。

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No.38  JA1OS 柴田氏は1991年1月死去されました。享年75歳でありました。この写真は1977年9月、JARL第1回アマチュア無線フェスティバルにおけるもの、右側が同氏、左側は私、岡本です。これはJARL原会長が撮影されたものです。

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No.39  ここで再び家庭用オートダインの話に移ります。この回路図は局型122号という太平洋戦争中に製作された0-V-1です。

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No.40  これは同様に高周波増幅1段を付けた局型123号です。両機共に資材を極端に節約しており、きわめて粗悪品でした。球は高フィラメント電圧としてトランスレストしました。マグネチックスピーカーのフレームはボール紙というものでした。

この種の受信機の故障は5分間もあれば判定できるものですが、実際は電解ブロックコンデンサのリークなどと、考えられないような事故が多く困らせられました。

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No.41  昭和20年8月15日、わが国の敗戦により太平洋戦争は終わりました。ここで空襲によって焼失した何百万台というラジオの需要が発生しました。折から軍需物資の放出によりいろいろな方法が考えられました。これは6P7Gというオクタルベースの3極5極管を使用した1-V-1です。

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No.42  これは軍用真空管RH1とPH1を使用したものです。家庭用オートダインは民間放送が始まって昭和20年代末まで続きました。

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No.43  これは昭和52年頃JA1FG梶井謙一氏が製作されたFETを使用したオートダインです。

戦後のアマチュア無線用の受信機はいきなりスーパーヘテロダインから始まりましたが、一方オートダインの復活も起こりました。これはメーカー製品に対する反発とも考えられます。

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No.44 これはそれを背面から見たものです。

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No.45  これが回路図でRCAのApplication AN-4590に出ていたものを梶井さんは3SK-35を使用されました。このレポートは昭和52年2月23日にJA1AR 木賀忠雄さんに送られました。梶井さんはオートダインと共に一生を送られた方でした。

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No.46  梶井さんは昭和60年12月7日死去されました。享年86歳でありました。写真は昭和55年4月14日、JAIAフェアで岡本が撮影したものです。

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No.47  さて、最近のオートダインですが、これは毎号のように「モービルハム」誌に発表されていますので、一例を出すに止めます。これは最近製作されたJA1AYZ有坂英雄氏の1-V-1です。HROや地一号受信機のようにパネル面からブロックのプラグインコイルをさしかえるのが特徴です。1-V-2ですが電圧安定感やCW用のフィルタを付けております。

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No.48  写真は電源を含めた全体です。

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No.49  我々古いアマチュアはオートダインと共に生れ、育ち、今日に至りました。

久保田万太郎さんの句に「昔男 時を聞き聞き 老いにけり」とあります。 而してそのパロディを示します。

パロディ「昔OM シグナル聞き聞き 老いにけり」

【番外編】昭和53年3月4日JARLアマチュア無線ハンドブックの打ち合わせ中の  森村委員長*(JA1LKJ、ex J2KJ)、岡本副委員長(JA1CA)、木賀編集幹事(JA1AR) のお三方を撮影。*平成16年(2004)2月25日没、87歳。

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【講師略歴】 
岡本次雄(おかもと つぎお)氏 JA1CA
大正4年(1915) 3月、東京市下谷区龍泉寺に生れる。昭和15年3月、電機学校高等工業科を卒業。昭和15年以後、安立電気、日本電気、太洋無線、東信電気、筑波無線、JARL副会長理事を歴任する。著書は「SSB送受信機の設計」「日本アマチュア無線外史」「モービルハムの技術」ほか多数。2004年9月没、89歳。
 
木賀忠雄(きが ただお)氏 JA1AR
大正7年(1918) 8月、東京市浅草区田町に生れる。昭和13年3月、蔵前工業学校電気科卒業。昭和13年4月、日本無線株式会社に入社、無線通信機の設計にj従事。昭和47年4月、JARL専務理事、技術研究所長を歴任。著書「受信機の設計と製作」、「アマチュア無線ハンドブック」(共著)など。2002年12月22日没、94歳
 
有坂芳雄(ありさか よしお)氏 JA1HQG
昭和11年(1936) 10月8日生れ。JOEX-TV映画部に勤務。昭和51年5月22日日、沖ノ鳥島DXペディション(7J1RL) 団長として出航。JARL常任理事、参与などを歴任。
 

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