東京日本橋 JR1VM 1200MHz FMレピーター

KENWOOD TKR-300Aの修復

~突然、虎の子のレピーター装置がダウン、メーカーに 修理を断られて自力復元に挑戦した記録です。~

 by JR1VM管理団体

JR1VM管理団体(緊急連絡者:JH1VVW)の1200MHz FMレピーター(1292.30MHz、東京都中央区日本橋茅場町)装置KENWOOD TKR-300Aが突然、送信出力が出なくなりました。送信部終段ユニットの故障と判断して修理のためにレピーター装置を梱包してクロネコヤマト便で横須賀サービスセンター(〒239-8528 神奈川県横須賀市神明町58-4 横須賀事業所 )へ送りました。果たして直してもらえるでしょうか?(写真1)

写真1 JR1VMのレピーター装置 TKR-300A(上段)とD-STARレピーター(東京日本橋430)

メーカー修理事情


メーカーによる修理状況は「生産終了から10年以上が経過したアマチュア無線機器の修理(調整、点検等も含む)の受付を終了します。」という通り、アイコム1200MHz FMレピーター装置IC-RP1210は生産終了後15年が経過した機種として修理受付終了機種リストに入っています。他社も同じ事情にあり、「販売終了後6年間を目安に保守サービスを実施しています。部品の生産が完了したものは6年を前にして、保守ができなくなることもあります」と、部品が入手できなくなる時期を修理完了時期としています。

ヤフオク!で落札


平成24年頃(2012年)、ケンウッドのTKR-300Aがヤフオク!に出品されていることを知り、7万円で落札することができました。その後、同社の横浜事業所に送り、JR1VMのレピーター装置とするために周波数(1292.30MHz)とIDの設定を変更していただき、各部の点検をお願いしました。すでに製造から年数が経過していましたが、幸いなことに完動品であったことから整備に応じていただきました。平成24年5月16日、無線局事項書及び工事設計書(レピーター装置の取替)を提出して免許状をいただきました。

修理に挑戦

 
2015年4月、「送信出力が出ないので修理して欲しい。」と手紙を添えてケンウッド横浜サービスセンター送りましたが、「部品がないため修理できません。」と戻されました。JR1VMを再開するには、虎の子のTKR-300Aを修理するしかありません。そこでネット検索で送信部終段の故障に的を絞って調べると、「TKR-300A故障修理」(JA3YAA JARL阪神クラブ)が目につきました。終段パワーユニットの故障(出力が出ない)に取り組んだレポート(PDF)が参考になりました。(写真2)

写真2 1200MHz FMレピーター装置TKR-300A

症状の把握
 
TKR-300Aの出力端子にダミーロードをつないだパワー計を接続して1.2GHz帯ハンディ機でアクセスすると、パワー計は全く振らないように見えました。しかし、針一つくらいは触れていることに気付いて、送信部前段が働いていると推定しました。
 

小型スペクトラムアナライザーRF Explorerで確認すると1272.30MHzを送信して1292.30MHzが出ていると確認でき、前段の出力が終段パワーアンプユニット(10W)に供給されていることから、終段ユニットの故障であり、またトランジスタC3541、C3542の入手困難を考えてユニットの修復を断念しました。
 

ここでマキ電機の槙岡寛幸氏(JH1UGF)にアドバイスを仰いで、パワーアンプユニットを外して、M57762パワーモジュールを使ったアンプに置き換えることにしました。(写真3)(写真4)

写真3 終段部ユニットを本体から取り出しところ

写真4 終段部ユニット10W

パワーモジュールM57762
 
このモジュールは生産を終了して市場にわずかに残っている程度という中、サトー電気(川崎市川崎区本町2丁目10-11)に3個在庫していると知り、予備を含めて2個(@8,500円)購入できました。三菱M57762は1240~1300MHz帯パワー・モジュールアンプです。2W入力で18Wの出力※が得られる仕様ですが、TKR-300Aの前段出力が0.2W程度と推測して出力10Wとなり、ちょうど良いと考えました。 ※三菱57762データシートより

写真5 故障の終段部ユニットを取り去りM57762の新アンプを組み立てる

 RFアンプの組み立て
 
マキ電機の1200MHz 10Wアンプの基板を流用しました。パーツは1000pF、10000pFチップコンデンサと電解コンデンサ47μF、フイルムコンデンサ0.01μF、三端子レギュレーター7808がすべてになります。他にキャリアコントロール基板ユニット(マキ電機)を装着しました。TKR-300Aの前段部に送信8Vを検出する端子を見つけましたが、これを使ってよいものかどうか、後々のトラブルを避けるためにキャリコンを用意しました。写真の隣に小さな基板があるのが、それです。(写真5)

写真6 Sunhayato の放熱用シリコン SCH-20

ヒートシンクにアンプ基板を固定するために8か所、パワーモジュールの固定に2か所、キャリコンの固定に2か所の穴あけを行いました。はじめ2.5mmのキリであけて、タップを付けました。穴開けの箇所が異常に多いように感じましたが、ヒートシンクにしっかり取り付けて異常な動作を防ぐためと理解しています。M57762の配線と固定はキャリコンの動作を確認した後に行いました。
 
パワーモジュールを固定する際にSunhayato の放熱用シリコンSCH-20 20g(990円)を塗布しました。放熱用にシリコンを塗るか塗らないか、それぞれに理由がありますが、今回はM57762の横長の中央部位にシリコンを薄めに塗り、ヒートシンク側にも薄目に塗って接着しました。最後に誤配線を点検して半田によるブリッジはないか、慎重に見極めて組み立てを終えました。(写真6)

通電テストに成功
 
終段部の組み立てが完了したところで通電テストを行います。まだ、終段部ユニットのカバーを取り付けていません。ダミロード付きの電力計を接続してTKR-300Aの電源スイッチをオンにして、ハンディ機でアクセスすると8Wを表示しました。10Wは出てほしいと思っていましたので落胆しましたが、調整箇所もありませんので、これ以上攻めても得るところなしと判断してテストを終了しました。次に終段ユニットにカバーを付けてねじをしっかり締めました。(写真7)

写真7 三菱M57762シングル(10W)アンプとキャリコン

出力10W!
 
再びダミロード付きの電力計を出力端子に接続して送信出力を測りました。なんと12Wの出力を表示しました。終段部ユニットを本体に組み込んだことでグランドが共通になり10W余の出力が出るようになったと考えています。初めての通電テスト時に深追いしなかったのは正解でした。12Wは±20%の範囲ですので、終段部の改造を終えることにしました。(写真8)(写真9)

写真8 新アンプを所定の場所に装着しました

写真9 修理を完了したTKR-300Aの外観

変更願の提出
 
改造を済ませてすぐにレピーター局を再開することはできません。終段ユニットの交換はいわゆる終段管の取替に当たりますので、JARLにレピーター等の変更願を提出します。変更の理由は「終段部トランジスタの入手ができないためパワーモジュールM57762に載せ替える必要がある。」と記載しました。
 

レピーター装置変更用工事設計書とJR1VMの構成員名簿を添付してJARL会長宛に出願しました。なお、管理団体の構成員はJARL会員でなければなりませんので、会費を切らした人、退会した人を構成員から外しました。また、送信部終段の取替は「軽微な事項」に該当するためにJARLが関東総合通信局に通知してくださると伺いました。このことにより、JARDによる保証認定が不要になりました。
 
あとがき
 
1200MHzレピーター装置の老朽化により維持管理が難しくなりました。※ 市販の装置がありませんので、故障した場合は自らの手により修理しなくてはなりませんが、部品が入手困難な場合でも代替品を使ってこれからも維持管理の努力を続けて行きたいと考えています。修復プロジェクトにJH1VVW、JF1GUQ、JH1UGF、JA1CVF、JA1FUY の5人が参加しました。

※ 修復が難しいコントローラー部は、米国ArcomのRC210のユニットが使えると考えています。

同社のWEBサイトから225ドル+送料で手に入ります。

http://www.arcomcontrollers.com/index.php/rc210/rc210-board
 
 
【ご参考】

1200MHzパワーモジュルールM57662使用パワーアンプ実体配線図 マキ電機 

【編注】 JR1VMのアンプはこの実体図を参考にしてM57762をシングル10Wにて製作してありますので違法性はありません。誤解されませんようにお願いします。なお、この基板は販売を終了していますのでご注意ください。

三菱パワーモジュール データシートより

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