失敗を恐れずに

勇気を持って上級資格を取ろう!

● 第1級アマチュア無線技士 & Amateur Extra Class  

 by Takashi Hioki JF1GUQ/KA8J

私の周りにはアメリカのアマチュア無線資格を持つ人がたくさんいます。このウェブサイトの主宰者 JA1FUY/NV1J 川合さんもそうですが、ボランティア・エグザミナー(VE)として監督・採点・CSCE作成などに活動しておられます。それらの方々の勧めもあり、2009年8月に神奈川県横浜市で実施された ARRL/VEC 東京VEチームによる「FCCアマチュアラジオ・ライセンス試験」を受けましたので、その顛末を報告すると共に、この機会にハムライフを見直してみました。

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JF1GUQ 山梨県南都留郡山中湖村の1キロワット局を運用

私がアマチュア無線に興味を持ったのは小学校5年生の理科の実験がきっかけでした。電池で動くモーターを作るその授業で、エナメル線をたくさん巻き、単1型の乾電池より大きな「自宅の呼び鈴」で使用している電池をつないで人より早い回転のモーターができた時、電気に興味を持ちました。軸受のところに給食のマーガリンを塗り、ブンブン回るモーターを飽きもせずに眺めていました。
 

その後、壁新聞を作るために資料集めをしているとき、図書室で手にした初歩のラジオ*から、電気工作やアマチュア無線を知り、翌年の国家試験を受験してあえなく玉砕しました。電話級ライセンスを手に入れたのは、それからずいぶん経って高校1年の夏、養成課程講習会短期コースでした。1974年(昭和49年)12月開局。TRIOのTS-520XとTR-5000を親にねだって買ってもらいました。 *休刊 誠文堂新光社
 

最初は50MHz帯AMのローカル・ラグチューが楽しくて、毎晩夜更かししていました。7MHz帯ではフルサイズのダイポールアンテナでしたが、10Wでは呼んでも呼んでもコールバックが無く、21MHz帯で初めて北海道と交信できた時は、嬉しくて大騒ぎしたのを今でも覚えています。
 

大人のハム仲間にまじって、モービルFOXハンティングにも参加しました(この時のドライバーはJR2PXX)。当時のモービルハムの編集長が取材に訪れていたそうで、グラビアページの記念写真右隅にちょっと背伸びした17歳の私が写っています。  さて、開局から早い時期、同級生が2アマを取ったことに触発され私も受験しましたが、送信試験で受験番号を打たなくてはいけないというまさしくその時に、数字は勉強していないという失態を演じ、当然失格となりました。
 

こうして、七転八倒のアマチュア無線“受験人生”が苦節35年、遅咲きの第一級アマチュア無線技士、米国のアマチュア・エクストラ・クラス、そして1キロワット免許の3冠を獲得するまで続いたことになります。

あきらめず失敗を恐れない

2アマの受験失敗から数年が経過したとき、なじみのハムショップに置いてあったモービルハム誌で上級ハム講座が連載されていることに気が付き、バックナンバーを取り寄せて読んでみると、とてもわかりやすくまたまた受験してみようという気になり、今度は慎重に受信練習、送信練習を重ねて合格し、 ようやく初級ハムから抜け出しました。
 

そして縁あって雑誌・モービルハムの編集者となり、JA1LG*、JA4CX*の上級ハム講座を担当するようになり、毎月、受験問題を校正していました。この頃はまだ1アマに和文の送信、受信の試験があった時期でモールスの練習テープを聞いてみては自分では1アマの通信術は無理だと、あきらめていました。 * サイレントキー

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日本無線協会・試験場入口の看板

思いたっら1アマ日和

2005年(平成17年)12月期(3アマは10月期)から、アマチュア無線各級無線従事者試験の電気通信術の試験方法等が変更されました。それまでに第3級アマチュア無線技士(3アマ)以上の資格を持っていた人は、第1級アマチュア無線技士(1アマ)、第2級アマチュア無線技士(2アマ)を受験する際に、電気通信術の試験が免除されます。
 

その結果、大幅な受験者増が起こり、平成17年(2005年)は23,697名だった1アマは翌18年(2006年)には24,685名に急増しています。CWが苦手なのは私だけではなかったようです。 それまでですと例年200名くらいが1アマの試験に合格して従事者免許を申請していましたが、新制度の発足により988名が新しく最上級ライセンスを入手していることが分かります。

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新制度の前後で比べると、強烈な増加があったと見ることができます。

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直近(2008年)のデータで、日本のアマチュア無線局が48万9千局余という数字が出ていましたから、たぶん1アマを取得している人は「無線大好き」な人たちなので、仮に全数が開局しているとすると、5%が最上級の資格保持者ということになります。

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JARL会員局名録2020-2021

昔の仲間を探してみると、ほとんど見つかりません。やめてしまったのですね。中には H◎ が表示されている旧友もいて嬉しく思いました。ちょっとちゃめっけを出して、JARLの役員や地域の指導者を調べてみると、あの有名人が資格欄、電力欄が空欄であることに気がつきました。
 

とある県支部で500Wの記念局(特別局)を作ろうとした時、支部長の資格が1アマではなかったので、代表者になれなかったという話を聞きました。 『顔が知れているから、受験しにくいんだよ』 という本音を聞いたこともあります。 皆 1アマの資格は欲しいのです。JARL会員局名録に H◎ と書いてほしいのです。でも、ある程度アマチュア無線界で活躍しているとプライドが邪魔をして試験会場に行くことができないのでしょう。
 

私もそうでした。それでも決意して2000年に一度1アマを受験したとき、符号は分かっているのに、解答用紙にアルファベットを書くスピードが遅くて、後半になると書きとれなくなってしまいましたので当然失敗。  モービルハムの編集者時代に、お給料をもらいながら、無線工学・法規を毎月勉強していたようなものですから、学科についてはある程度の自信がありましたが……。
 
次に受験を思いついたのは、QTC-Japan の仲間、JI1FOL矢田和明(2001年 SK)さんが70歳にして1アマに合格したと伺った時、同じくJA1××× 山田さん(仮名)がホームぺージで1アマ合格を誇らしげに書かれた時に、「私も……。」と思い、こっそり受験しました。
 
午前中の法規が終わり、無線工学を落とさないように慎重に解答し、めでたく1アマになることができました。無線工学で「ダメだ」とわかったら、帰ろうと思っていました。それくらい余裕のない合格点ですが、取れたらこっちのものです。 折しも1kWのシャックを山梨県南都留郡山中湖村の山荘に建設しようという話が持ち上がっていたところでしたので、私も仲間に入れていただき、今回の局名録では  H◎  と記載していただきました。

思わぬ落とし穴

またまた試験に不合格になった話ですが、2009年8月のARRL/VEC 東京VEチームによるFCCアマチュア・ラジオ・ライセンスVEC試験で、初めてアメリカの試験を受験しました。地元横浜での開催ということもあって、受験しなくてはいけないような雰囲気が出来上がっていて、逃げ場がなかったというのが実情です。
 

実際の試験勉強は2週間前から始めました。最初はテクニシャン級さえ取れれば顔が立つから、それでいいと思っていましたが、インターネットによる模擬試験を受けてみると3日目には合格ラインに達したことが分かり、それで欲が出てもう一つ上のジェネラル級まで足を延ばしてみました。

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ARRLのExtra Class ライセンス・マニュアル

試験勉強として教科書を読むということはしないで、いきなり模擬試験を回数受けて経験値を上げる作戦で始めましたが、さすがにアメリカの習慣といいますか、独自のルールは覚えるほかなく、なかなか模擬試験で合格点に達しません。

試験まで後2日というところまで来たところで、最悪、テクニシャン級だけで良いと後ろ向きになりかけた時、初めてジェネラル級で及第点を取ることができました。一度合格ラインが見えたら、それから受ける疑似試験はことごとく80%の得点で、あわよくば行けるという感触を持ちました。

仲間からは、疑似試験で80%回答なら大丈夫だと聞かされていましたので、何とかなりそうです。実際の試験は定刻通り粛々と実施され、私の答案は別室に設けられた採点ブースに渡りました。

しばらくしてVE(ボランティア・エグザミナー:試験官)から『残念です。3問足りません』と聞くまでは浮ついたままで、そのまま地獄に落ちました。何人かのVEは顔見知りで、このままおめおめ帰れません。
 
その日の朝までジェネラル級の模擬試験で80%を取っていたのですが、最初のテクニシャン級に合格しなければ次に進むことができませんからもう一度受験料(1500円)を支払い、再試験をお願いしました。その日は結局、テクニシャン級の試験を2回受けて、ジェネラル級の試験を1回の計3回の試験問題と向き合って、やっとの思いでジェネラル級に合格することができました。

1アマ&エクストラ級の道

そして同年12月、念願のアマチュア・エクストラ級に合格し、日本の「第1級アマチュア無線技士」、アメリカの「アマチュア・エクストラ」というアマチュア無線の最上級クラスの免許を取得するに至りました。思い返せばその時々に流されるように受験、失敗を繰り返しながらの道のりでした。 もっと早くに受験を思い立てば良かったとか、反省材料は多々ありますが、そのときは機が熟していない状況で、受験する気にならなかったんですから仕方がありません。

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VEにだけ使用が許されるVE Patches

私は1アマからアマチュア・エクストラ級の取得に至りましたが、中にはエクストラ級の取得後に外国免許で1kWを得て、会員局名録に *◎ と表示されていると気がついて1アマを取得した人も多いと伺いました。
 
そのような人たちのことは [3アマ・エクストラ]、[2アマ・エクストラ] と陰で呼ばれているようですが、趣味の資格ですからいつ受験しても良いのではないかと思います。逆に1日でテクニシャン、ジェネラル、エクストラの各級に合格した人のことを [ワンデー・エクストラ] と呼ばれているそうですが、特別な証明書はないので自分だけの勲章と言えましょう。
 
1アマとアマチュア・エクストラ級のどちらが難しいか問われれば、どちらにも困難なところがあり、比べられないのが本音ですが、[2アマ・エクストラ] と陰口叩かれている状況から、一般にはエクストラ級のほうが取りやすいと考えられているようです。
 
JA1IFB/KA1Z 福田さんがQTC-Japanのサイトに寄稿された情報では、アマチュア・エクストラ級 の数は12万人いるそうです。我が国の1アマは2万7千人程度ですから4倍の開きがあります。そういった層の厚さが68万局のアマチュア無線大国を支えているのだと感じました。 (おわり)

[参考] ARRL/VEC試験と活動
   JRI 第一級及び第二級アマチュア無線技士国家試験案内