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国境の島運用記(3)

対馬市移動運用2004

2002年からから続けて3回目になる移動運用を総勢7名+地元の
小田さん(JA6VAG)のお力添えで実行することができました。

Takashi Hioki , JF1GUQ 

3度目の対馬訪問

対馬を訪ねると病み付きになるといわれるように2002年からから続けて3回目になる移動運用を総勢7名+地元の小田さん(JA6VAG) のお力添えで実行することができました。3月1日に市制を施行して「対馬市」になったばかりで、地元のアマチュア局はJCCサービスに余念がないのは当然ですが、本土から繰り込んで移動運用する局も出てきました。
 

私達7名は市制施行から 1ヵ月後の4月16日(金)早朝、羽田空港からANA便にて福岡空港を経由して、ここでローカル便に乗り換えて対馬へ向かいました。天候にも恵まれて予定通り対馬空港に到着しました。

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「対馬市移動運用2004」のQSLカード

アンテナを含めて無線機材のほとんどを事前に宅配便にて「民宿ペコちゃん」に送りましたので、参加者は着替えを持ち込む程度の軽装で対馬空港に降り立ちました。 あらかじめ予約したレンターカー「空港イン」のワンボックスカーに乗せられて近くの事務所へ直行。ここで小田さんと合流して軽自動車2台(SUZUKIのKEI)とマーチの計3台を借りて「民宿ペコちゃん」へ車を連ねて向かいました。

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「青潮の里」バンガローの前でアンテナの荷解きを始めたJA1KJW バッグから多くのアンテナが・・・

対馬は九州本土から138km、韓国までわずか49.5kmと、九州の最北端に位置する対馬、上対馬町の展望台からははるか遠くに釜山の街の灯りが見えるほど近く、古くから大陸との中継点として栄えてきました。人手の加わらない雄大な自然と、文化が合流する国境の島です。(九州郵船のカタログから)

まずまずの運用状況に

今回は対馬市役所のある厳原(いずはら)周辺に「民宿ペコちゃん」と「青潮の里」バンガローを借りてシャックを二つ作りました。はじめに全員がバンガローに出向いJA1KJW中山さんが主に運用するアンテナの建設から取り掛かりました。
 

中山さんはVK9CJ、VK9XK,3D2HI、XV5JY、T22KJなど移動運用の大ベテランとして知られていますが、今回のJCCサービスを楽しみに対馬に乗り込んできました。アンテナは2エレメントのSuper Antennaの組み立てからはじめましたが、米国製のこのアンテナはエレメントのサイズを伸縮するだけでHFバンド+6mバンドをカバーするという優れもので、全員で手分けしながら14MHz帯に組み上げました。
 

1.9MHz~28MHzまでロングワイヤー、ダイポール、バーチカル系のアンテナ群を夕刻までに立ち上げて数本のバンド別同軸ケーブルをバンガローに引き込むことに成功、後はコンディションにあわせてYAESUの愛機FT-850(出力50W)に同軸ケーブルをつなぎかえるという完璧な移動運用シャックが出来上がりました。
 

そして運用が始まると中山さんの見事なキーイングに注目が集まりました。使っているキーは米国製のBull Dog Keyでオリジナルの木製台座を円形の真鍮の台座に改造して愛用していました。

「青潮の里」バンガローには中山さんと川島さん(JJ1HKS)が寝泊りしながらいつでも好きな時間に運用できる態勢ができあがりました。もう一人の友人JJ1JGI 西山さんの参加も予定されていましたが、都合により取りやめになったために中山さん一人が奮闘しました。
 

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2エレメント八木アンテナ Super Antenna

「民宿ペコちゃん」では、JI1FOL 矢田さんにより7MHz帯CWが運用されたほか、折から開催中のNVCG SSTVコンテストにJA1FUY 川合さんが参加しましたが、14MHz帯のコンディションが悪くて局数が伸びないままに終わりました。そんな中でもBD2MB、JT1BE、VK4WNWなど海外の局との交信が唯一の慰めになりましたが、肝心のコンテスト参加者にあまりめぐり合わないまま交信数が伸びなくて悔しい思いをしました。
 

また、マルケサス諸島にDXペディションを敢行中のFO/JA0SC 吉池さんの画像をRSV595で受信するも順番待ちをしている間にフェードアウト!これまた悔しい思いをしました。市街地の民宿ではダイポールを十分な高さにあげることができないために、特にコンディション悪化の一途のこの時期とあいまって歯軋りをするばかり、せめてビームアンテナが欲しい!つくづくそう思いました。

430MHzモービル局が予想以上の結果を出して全員で喜びました。厳原の市街地から程近い峠に移動して8エレメント×2のアンテナとKENWOOD TM-455トランシーバーの組み合わせで第一声を出すと本土で待ち受けてくれていて、結局、奈良県の局と交信に至ったということで大きな成果を上げることができました。

以下に8人による【メンバーの感想】を掲載して今回の移動運用の締めくくりにしたいと思います。用意周到に準備を進めた対馬市移動運用でしたが、 反省すべき点も多々あり次回にこの経験を生かさなくてはならないと考えています。

それでもメンバーそれぞれのスタイルで楽しめたDXバケーションになりました。

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「対馬市役所」に掲げられた真新しい看板

■JI1FOL 矢田さん
 

今回の対馬移動は千局弱は一応の成果があったと思います。当然のこととは思いますが、第1シャックのJA1KJW、中山さんの局数が桁違いの数であったのではないでしょうか。

この中ではたして、SSB、CW、RTTY、SSTV、とモード別に見ますとやや不満の残るところではないかと思います。どのくらいの割合になっているのかは私は知りませんが多分、CWが多いことと思っています。
 

対馬市としての運用ならば、その他のモードももっと運用すべきだったのではないかと反省しています。国内はSSB局のほうが断然多いのですから。今回のDXペディションスタイルは参加者もその点をやや認識不足であったような気がします、もろん私も含めてですが反省しています。

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左手にキー、右手にペンのスタイルのJI1FOL

前回が「移動運用スタイル」なら今回はさしずめ「DXペディション運用」という感じではないのでしょうか。(あくまでも主観です) 今回の大成果は唯一430MHzバンドの運用ではないでしょうか。430MHzファンにとっては非常に貴重な対馬移動運用になったと思います。あまり期待をもたないで運用した結果が、思わぬ大きな成果が出たのではないかと思っています。 対馬はやはり北島の方が良いです。
 

今回の厳原地区は残念ながら山間に開発が進みビルが建っていて、どうかなという感じでした。それに比べて北の地区はまだまだ昔のままの美しい景観が多くて、これからもこのままであって欲しいと感じました。

■JA1KJW 中山さん

バンガローのロケーションは私のために設定して頂いた感じで1.9~28MHz全て各BANDのアンテナを展開できて大満足でした。 また、目の前にきれいな海岸を、夜中には星を見ながらのQSO、パイルアップをひとりじめ。 残念なことにHIGH BANDがオープンしてくれなかったこと、DXもNG、撤収10分前に21MHz帯が開けたが時間切れでした。 各バンドの成果は次の通りです。

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相棒のJJ1JGIが参加できず局数が伸びずにイマイチでした。参加の皆さんもっとQRVしましょうよ!!

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(左)厳原町「青潮の里」バンガローでJA1KJW   
(右) 中山さんが持ち込んだ移動用のみごとなアンテナ群

■JA1CVF 岡田さん
 

大宴会の幕開けを前にしてワクワクしながら待つJA1CVF 対馬移動運用参加は私にとって2回目になります。 今年は対馬市・市制記念運用という特別に意味のある運用でした。しかし、私にはあまり大っぴらには言えないもう一つの目的があったのです。それは昨年暮れから一般公開されている特別天然記念物"ツシマヤマネコ"とのご対面です。
 

滞在期間は移動日も入れて3日間、初日はシャックの設営、最終日はシャックの撤収。 当然中日はJCCサービスで盛り上がる日です。この盛り上がる中日にそっと抜け出し往復150kmほどの山岳ドライブに出かけました。 小さな島のようでも結構山道はきついです。

参加希望者は3人。ということはそっと抜け出すという感じではありませんが?! 精悍な顔つきのヤマネコは今、70頭ほどしか生息してない絶滅の危険が高い個体ということです。 まじめに運用された4人の方のお陰で移動運用は大成功でした。

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大宴会の幕開けを前にしてワクワクしながら待つJA1CVF

■JH1VVW 石井さん
 

小田さんのご尽力により下調べ頂いた宿舎の予約を完了しました。 これで夜露と食いっぱぐれが無くなり、電源を確保したことになります。
 

★第一シャック /民宿ペコちゃん
http://www9.ocn.ne.jp/~joujou/js-00-index.htm
主人曰く: あーぁ、先日いらした方のお仲間さんですね。 無線をやると言う話は聞きました。8名がいらっしゃるということですから、他の方の宿泊予約は受けないようにします。 料金も一人6,200円でお請け致します。 景色云々は余り期待できませんので、昼間、第二シャックに行って楽しむことになります。

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Super Antennaを組み上げて一息入れるJH1VVW

■JF1GUQ 日置さん


対馬は周囲が海に囲まれていて海の幸が一杯、獲り立ての新鮮なウニ、アワビ、サザエが今回も食卓にのぼり食通の一行をうならせてくれました。
写真のようにサザエの刺身をかきこむ豪華な食べ方を披露してくれた日置さんは、『こんな美味いものはない』とばかりに大皿に乗ったサザエをぺろりと平らげて見せてくれました。

上等なウニを 瓶詰めにして蓋にコールサインを貼り付けて参加者全員に用意してくださったのが対馬を知り尽くしたJA6VAG 小田さんの粋な計らいと参加者からやんやの喝采が送られました。
 

日置さんは今回の移動運用の裏方に回って支えたほか、430MHz帯のモービル運用ではJH1VVW 石井さんと共に峠に移動して奈良県方面との交信に成功するなど大きな成果を上げました。

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サザエの贅沢な食べ方を自演してくれるJF1GUQ

■JA1FUY 川合さん

ローバンドCWと430MHz SSBに喝采! 3月1日の市制施行から1ヶ月ちょっとの対馬市を訪ねました。今回は凄腕のCWオペレーター(JA1KJW、中山さん)の参加で交信局数はかなり伸びると予想したとおり、故郷にもどって元気いっぱいのJI1FOL矢田さんと共に900局以上を稼ぎ出したのはさすがと言うほかはありません。
 

中でも青潮の里に出現した移動用のアンテナ群に度肝を抜かれました。ハイバンドのCONDXが低下の一途を辿る中、ローバンドのCWを存分に楽しまれたようでうらやましく思いました。 SSTVの運用といえば、昨年同様の10 QSO程度に交信に終りなんともはやという感想しか残りません。
 

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SSTVのシャック(IC-706MKⅡGMとVAIOノート  第 2シャックのアンテナ群(3.5、7、14MHz)

今回こそはと期するものがありましたが、常連のJA7UQ、JA0AKM、JA1PSSに続く局がいなくて閑古鳥が鳴く始末。それでもJA1CXB、JA1AEC、JA1BDDと交信したものの、NVCGメンバーのRSVに続く「M」をついぞ見ることはありませんでした。そして海外のBD2MB、JT1BE、VK4WNWとの交信が唯一の慰めになりました。
 

石井さん(JH1VVW)と日置さん(JF1GUQ)による峠からの430MHz 運用が、奈良県まで距離を伸ばしたと聞いて「これはたいしたものだ」と思いました。暗闇の中での移動運用に敬意を表するとともに、さらに詳しい状況を綴っていただけたらと思います。

■JJ1HKS 川島さん
 

国内線はJARL沖縄総会以来2度目フライトでウキウキ、早朝8時前には羽田に着いてしまいました。空の旅も好きなので早速窓側の席をゲット、心も天候も快晴で、空港内や屋上でビデオの撮影を楽しみました。機内からは、八ヶ岳連峰、南、北アルプス、加賀の白山が美しく見える、まるでスイスの上を飛んでいるようだ、今回の仲間に結びつけてくれた故JA1AYC松本OMもこの辺を飛んでいるのではと、ふと思いました。
 

福岡に近づくと延々の赤潮の帯、海の汚染がひどい、横浜港の方が全然きれいです。乗り換えて140kmで対馬に到着、こちらは海も空気も綺麗で清清しい、早速キャンプ側のアンテナの設置機材は全てJA1KJW 中山さんのオリジナルで完了、民宿側も上手く行った。 私は中山さんとキャンプ場のシャックで運用、寝泊りしました。

翌日は3名(JA1CVF、JI1FOL、JJ1HKS)で観光ドライブ、標識や注意案内は全てハングル文字も入っていた、50kmも無い距離で観光客は全て韓国人のようでした。ツシマヤマネコと韓国が見える展望台まで行ったが、韓国はガスで見えず、山ばかりの対馬180kmのドライブを楽しみました。 中山さんは紙はさみで作った電鍵で800局を超えている、静かに次々と交信している姿勢や顔が美しく見えました。
 

キャンプ場の夜は韓国人若人でバーベキューを楽しんでいた、それにしても日本語がうまい、日本人は韓国語を覚えようとしない、肝心の無線は目標に1局足りなかった、でもSSTVでBD2の中国ハルピンと交信できたのがファーストでFBでした。無線と観光、素晴らしい感動の旅でした。

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左からJJ1HKS、JF1GUQ、JA1KJW、JI1FOL、JA1CVF、JA6VGA、JH1VVW、JA1FUY

■JA6VAG 小田さん
 

今回は、皆さんの対馬市移動運用にかける意気込みを感じました。4月16日対馬に到着早々、アンテナ設営のお手伝いをさせていただきました。JA1KJW 中山さんの移動用アンテナシステムは、1.9MHzから28MHzまでカバーできる本格的なもの。移動運用を、主体に考えられた2エレメント八木YP-2も1m弱のケースに収まるなかなかのすぐれものでした。
 

天気は、二日間は良好てした。が、お空のコンディションは今ひとつにもかかわらず1000局弱の好結果には驚きです。特に、1.9MHz 帯の50局はなかなか難しいもの、たくさんの方のリクエストにお応えできたのではと思います。
中山さん、矢田さんのCWによるJCC4209のサービスお疲れ様でした。 中山さんから『対馬の夜空が、綺麗だった』とのお言葉がなにより嬉しかったです。

QTC-JAPAN.COM 2004.5.2

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